介護施設で夜勤で、1人夜勤と2人体制のどちらが良いのか気になる方もいるのではないでしょうか?
僕は、現役の介護職としてユニット特養のショートで1人夜勤を4年、老健で2人体制を1年半経験しており、これらの違いを熟知しています。
この記事では、1人夜勤と2人体制の具体的な違いに加え、それぞれのメリット・デメリットも解説します。
この記事を読めば、これらの夜勤体制の違いを理解して、、どちらが自分に合っているのか判断できる内容となっています。
結論、僕の意見は2人体制の方が圧倒的におすすめです。
✓本記事の信頼性
当サイト管理者
・この記事を書いている僕は、15年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・ユニット型特養のショートで1人夜勤を4年、老健で2人体制を1年半経験。
・現在は、老健に勤務しています。
Contents
介護施設の夜勤の人員体制について
介護施設の夜勤の人員体制は、一般的には入所者20人に対してスタッフが1人以上配置されていることが多いです。
介護施設の夜勤の人員配置基準の例は以下のとおりです。
人員体制 | |
ユニット型特養 | 2ユニットごとに1人以上 |
老健 | 入所者20人に対して1人以上 |
グループホーム | 入所者9人につき1人以上 |
つまり、担当する入居者が20人以下の場合は、1人夜勤が一般的です。入居者が20人を超える場合は、2人体制にしている施設が多いでしょう。
そして、2023年の日本医労連の調査によると、およそ6割の施設が1人夜勤です。
介護職の1人夜勤と2人体制の4つの違い
つづいて、介護職の1人夜勤と2人体制の違いを実体験をもとに解説します。
・仕事内容の違い
・休憩時間の違い
・夜勤手当の違い
・緊急時の対応の違い
仕事内容の違い
2交代制の介護施設では、午後16:00~午前9:00が夜勤の勤務時間です。
1人夜勤の場合は、日勤がいる時間帯は例外として身体介助、巡回、記録など、基本的にすべての業務を1人で行います。
一方、2人体制の場合は、業務を分担して行います。
1人夜勤の業務の流れ
1人夜勤の業務の流れは以下のとおりです。
時間 | 詳細 |
16:00 | 出勤・申し送り |
18:00 | 夕食準備と食事・服薬介助 |
19:00 | 就寝準備 トイレ介助・おむつ交換・歯磨き 着替え・ベッドへの移乗など |
22:00 | 巡回 ※巡回は2時間おき、コールには順次対応 |
23:00 | オムツ交換 |
0:00 | 巡回 ※巡回の合間に介護記録の記入、庶務 |
2:00 | 巡回 ※コールや巡回の合間に仮眠 |
4:00 | 巡回 |
6:00 | 起床介助 着替え・モーニングケア |
8:00 | 朝食準備と食事・服薬介助 |
9:00 | 申し送り・退勤 |
1人夜勤の場合、同時にコールが鳴った場合、優先順位をつけて順番に対応しなければなりません。これにより、緊急度や重要度の判断が常に求められます。
2人体制の業務の流れ
僕が働く老健では、夜勤リーダーと夜勤フリーに担当が分かれていて、業務内容が若干異なります。
時間 | 夜勤リーダー | 夜勤フリー |
16:00 | 出勤・申し送り | 出勤・申し送り |
18:00 | 夕食準備と食事・服薬介助 | 夕食準備と食事・服薬介助 |
19:00 | 就寝準備 トイレ介助・おむつ交換 ベッドへの移乗など |
就寝準備 トイレ介助・おむつ交換 ベッドへの移乗など |
21:00 | 庶務・介護記録の記入 ※翌日の食事表や排泄表の準備 |
巡回 ※巡回は1時間おき、コールには順次対応 |
22:00 | 巡回・コール対応 | |
23:00 | オムツ交換 | |
0:00 | 休憩 (0:00~2:00) |
巡回・コール対応 |
2:00 | 巡回・コール対応 | 休憩 (2:00~4:00) |
4:00 | オムツ交換 | オムツ交換 |
6:00 | フロア見守り・モーニングケア | 起床介助 ※居室からフロアへ誘導 |
8:00 | 朝食準備と食事・服薬介助 | 朝食準備と食事・服薬介助 |
9:00 | 申し送り・退勤 | フロア見守り・退勤 |
深夜帯において、夜勤フリーは基本的に介護記録は書かず、巡回やコール対応を担当します。介護記録は主に夜勤リーダーが記録します。
コールが同時に複数なれば、夜勤リーダーも協力して対応します。
休憩時間の違い
休憩時間に関しても、1人夜勤と2人体制では大きな違いがあります。
1人夜勤の場合、コール対応や巡回を行いながら、合間を見つけて短時間の仮眠や休憩をとらなければなりません。当然、コールがなれば対応する必要があり、常にコール音に注意を払っている状態です。
そのため、ゆっくり休める感覚はありません。
労働基準法によれば、介護の夜勤における休憩時間は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上と定められています。
一方、2人体制の場合2時間の休憩時間が確実に確保されています。コール音から解放され仮眠室で眠ることもできるし、外で一服したり、小腹がすけば近くのコンビニへ買い物へ行くこともできます。
夜勤手当の違い
夜勤手当については、1人夜勤・2人体制によって違いはあまりないと思います。むしろ、事業所によって決まることが多いでしょう。
一般的な夜勤手当の相場は、4,000円~8,000円程度です。
参考までに僕が経験したユニット型特養と老健の夜勤手当を紹介します。
ユニット型特養(1人夜勤) 1人夜勤 7,000円
老健(2人体制) 10,000円
緊急時の対応の違い
夜勤中に入居者の状態が急変することは、極まれですが起こります。この時、1人夜勤と2人体制では対応の仕方に違いがあります。
1人夜勤の場合、急変時の対応は1人で行う必要があります。救急対応や家族連絡、他の入居者へのケアを同時にこなさなければなりません。
救急搬送をする場合、当然、フロアを離れることができないので、ご家族に施設まで駆けつけてもらう必要があります。
※他フロアや別ユニットから応援を呼ぶことは可能。
また、緊急性があるかどうかの判断も難しいところです。
症状によって、即、救急搬送かそれとも朝まで様子を見るか、そういった判断もしなければなりません。
一方、2人体制では、スタッフが役割を分担することで、スムーズな対応が可能です。
たとえば、1人が急変した入居者に集中して対応し、もう1人が他の入居者の見守りや必要な連絡を行うといったような対応ができます。
僕の働く老健では、看護師が夜間も常駐しているので、看護師にPHSで連絡すれば、対応してくれるし、適切な指示がもらえます。
介護職の1人夜勤のメリット・デメリット
1人夜勤のメリットとしては、マイペースで仕事ができる点でしょう。
スタッフ同士の関係に煩わされることなく、自分のペースで業務を進められるため、気軽に仕事ができます。
一方、デメリットは、すべての業務を一人でこなす必要があり、特に休憩時間の確保が難しく、まとまった休息をとるのは困難です。
さらに、入居者の急変時は、迅速な対応をしなければならず、業務が重なるとバッタバタになります。
そうした状況下では、適切な判断とスピーディな対応が必要となり、精神的にも体力的にも負担が大きいです。
介護職の2人体制のメリット・デメリット
2人体制のメリットは、業務を分担することで効率的に作業を進められる点です。
特に緊急時には、一人が急変対応を行い、もう一人が他の業務を担当するなど、役割分担が可能。また、交代で休憩を取ることができるため、まとまった休憩時間を確保できます。
なにより、相談できる相手がいるのは安心感があります。
一方でデメリットとしては、相方の仕事のペースや性格によってストレスを感じることがあることです。
たとえば、仕事が遅い人やおしゃべり好きな相方だと、業務が進まず、結果的に自分の負担が増えることもあります。
こうした場合、業務が滞り、イライラする場面が出てくるでしょう。
介護職の1人夜勤と2人体制の違いについてのまとめ
今回は、1人夜勤と2人体制の違いについて紹介しました。
1人夜勤は、自分のペースで仕事ができるメリットがある一方、すべての業務を一人でこなすため、特に緊急時には迅速で的確な対応が求められます。
休憩も十分に取れないことが多く、体力的・精神的に負担が大きいです。
一方、2人体制では、業務を分担することで効率的に作業を進められ、交代で休憩を取れるため、体力面での負担が軽減されます。
冒頭でもお伝えしましたが、僕は2人体制のほうが圧倒的に良いと感じています。さらに、看護師が常駐しているとさらに安心度が上がります。
この記事を参考に、それぞれの体制のメリット・デメリットを考慮して、自分に合った働き方を選んでいただければと思います。
今回は以上になります。